『方丈記』 鴨長明
今回初めて「方丈記」を読みました。「方丈記」は前半のほとんどの部分を、長明が若い頃に体験した平安末期の「五大災厄」、大火、辻風(竜巻)、遷都、飢饉、大地震の記録にあてられている。その描写力は、800年の時を経ても色あせないリアルなものといわれ、「災害誌」の原典の一つとも言われます。災害は人災によることが多い。ならばリスクを避ける上でも、いつでも引っ越せるよう持ち物を最小限に、小さな家で十分。豪華な家屋敷を建てて、火事や地震、泥棒など、あらぬ心配に明け暮れるより、精神を磨いて自分の尊厳を高める方が、ずっと価値がある。鴨長明も上位の官を望んだが果たせず、無常を感じて日野に下山し、あえて林の中に約3メートル四方の庵(方丈)を造って住み、その際できたのが、「世界で最も古いプレハブ建築について書かれた貴重な本」傑作「方丈記」である。彼が書きしたかった体験は二つある。一つは前半の若い頃に起きた5つの大災害の悲惨さ。もう一つは残後半の閑居生活の愉しみと住居哲学である。
住居とは何か、何のために建てるのか、
日頃、住宅建築に携わる者として一度は思うことを、
美しい文章で現してくれています。
ハウジング企画設計 上杉九未
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